入局のメリット7選
みさなん、こんにちは。今日は入局のメリットについて記事を書きたいと思います。
私は過去に医局員として働いていた経験もありますので、入局のメリット・デメリットについては皆さんに有用な情報をお伝えできるかと思います。
以前の記事にも記載しましたが、私としては「初めから市中病院で働き研鑽を積む」が、今のお若い先生方にとってchallengingで最適解なのではないかと思っています。
とは言っても医局がどういうところなのかを知りたい先生方も多いのではないかと思います。そして、早いところでは4-5月頃から医局説明会を開催しており、そこでは医局への興味を掻き立てられるような話を聞かされます。医局説明会に参加すると、「医局に入ることも悪くないな」と考える先生もいると思います。
なので、医局員となるメリットについて、私の実体験を交えて今回は記したいと思います。早速行ってみましょう。
1.困ったときは医局が守ってくれる
医局員のメリットは、これが大きいでしょう。
特に若い学年のうちは学びながら医療を実践するパターンがほとんどです。そして実践した医療が正しかったのかどうか検証し、次の医療に活かすことができます。そうやって医師は学んでいきます。これは何も知識面だけではありません。「人として患者様とどう向き合うか」といった、自身の人間性についても、学んでなければなりません。
従って、若いうちはいろんな失敗をすると思います。そして、中には患者様と望まない関係性に陥ってしまうこともあるでしょう。時には患者様から「お前を訴えてやる!」と言われることもあります。私もこれまで2回ほどありました。実際の訴訟には発展しませんでしたが。
しかし、この様な「もしもの時」も医局が守ってくれることが多いです。
これはかつて私の所属していた医局で、長年医局長をやっていた先生から聞いた話ですが、医局にはこの手の訴訟沙汰の話がたくさん来るようです。私の医局では、その都度医局長の先生が対応したり、場合によっては教授も含めて対応している様でした。
そして、医局であれば縦の繋がりも強いので、何かあっても先輩方が親身になって相談に乗ってくれます。
2.専門医取得に悩まない
これも入局の大きなアドバンテージです。
昨今は、「新専門医制度」のため、内科医は初期研修が終わってからも他科へ行き、そこで他科の症例を経験しなければならなくなりました。これが非常に煩雑です。
特に、市中病院で後期研修をした場合、他科の症例を経験するためには、自分で他科の部長や病院と直接交渉を行い、他科を短期間だけ回らせて頂く必要が出てくると思います(中には後期研修の制度が整っていて、そのような煩雑なことをしなくても良い病院もあるかもしれませんが)。
しかし、医局にいればそのような煩雑なことは行わなくて良いです。なぜなら、大学医局に入局すれば、医局間で調整を行っており、他の科を短期間だけ回るシステムがすでに出来上がっている場合がほとんどだからです。
ある程度は自身の努力(例えば、症例を選びレポートを作成することや、試験対策の勉強をすることなど)は必要ですが、そこさえやっておけば、医局にいることでエスカレータに乗ったような感じで専門医まで取得できます。
3.研究できる→博士号を取得できる
これも医局にいることで得られる経験の1つでしょう。医局に入れば臨床医を経験した後に大学院へ入学することができます。また、大学院を卒業することで医学博士の肩書きが手に入り、経歴に少しだけ箔をつけられます。
私のいた医局では、専門医取得までは臨床医として研鑽し、その後臨床医をひたすら極める道か、大学院へ入学し研究に従事する道がありました。
せっかくなので新しい経験をしようと、私は大学院に入学し研究を始めたのですが、これがやってみると意外と面白いものなんですよね。
医学生の頃、私の中で研究というと「研究室の片隅で、ある時はマイクロピペットを持ってひたすら試薬をシャーレに移したり、ある時はパソコンをカタカタしながら論文を書く」という地味なイメージしか持てなかったのですが、臨床を一度経験してから研究に従事すると、医学生の頃とは違った世界として見ることができました。
私は研究が性にあっていたようで、大学院を卒業してから再び市中の急性期病院で働くことになっても、ストレス発散の一環で、できる範囲で研究と論文執筆を続けていました。今思えば、初めから臨床よりも研究が向いていたのかもしれませんね。
医局を辞めて研究から遠ざかってしまったことは、今でも私が医局を辞めて後悔しているところです。独自に作ったノートに研究のネタをたくさん書いていただけに、まだ研究もたくさんできましたし、論文もたくさん書けたと思うのですが。
すみません、少し脱線しました。次に行きましょう。
4.海外・国内留学できる
医局にもよりますが、ある程度大きな医局だと、国内や海外の医療機関や研究機関とのコネクションを持っているため、そのつながりを利用して国内・海外留学ができます。
ご存知の方もいるかもしれませんが、海外(特にアメリカ)はコネ社会です。留学をするときも、自分の実力だけでなく「誰かの推薦がある」ことが非常に大切です。
従って、医局員の先生方が過去に作ったコネクションを利用して留学することができます。
ただし、これは私の印象ですが、医局で留学をするのであれば、やはり医局員としてそれなりの実績を作っておいた方が留学しやすいです。
紹介する先生も、「怠け癖のある医局の後輩」と「勤勉で積極的な後輩」だったら、どちらが相手に紹介しやすいでしょう。絶対後者に決まってますよね。
なので、もし留学を考えているのであれば、「誰も行きたがらない激務の病院に進んで行って研鑽を積む」「学会で症例報告や研究発表をたくさんする」「論文を書く」等、医局員として医局に貢献する行動を積極的に行なった方が良いでしょう。
5.体調を崩しても医局がカバーしてくれる。
若いうちは激務に追われ、身体を壊したり、心身に不調をきたしたりすることもあります。そんな時に医局に所属していれば、カバーしてくれることがほとんどです。
医局は医師の働く場所を斡旋する組織で、ある程度自由に動ける医師が一定数存在します。ですので、若いうちは体調不良を来しても上級医に相談すれば、大体は解決してくれます。
6.アルバイトの単価や待遇が相場よりも良い
これも医局員としてのメリットです。特に地方に行くとこの傾向が強いと思います。日本の医療機関は地方に行くほど医師不足に悩んでいます。その医療機関で当直をやってくれる医師を確保するのも一苦労する状況です。
そこで、地方の医療機関は医局とコネクションを持っているケースが多いです。医局とコネクションを持っていれば、その医療機関へは定期的に医師が当直に来てくれますからね。
よって、医局員は定期的に医局が紹介するアルバイト先に行くことがほとんどです。
そして売り手市場の中、医局員等も「ちょっとでも時給が良くて、かつ楽なアルバイト先」を選んで行きます。となると、医療機関は「ちょっとでも時給を上げて、待遇を良くしよう」と頑張ります。
このような状況から、医局員のアルバイトは比較的割が良いです。私が医局員時代に勤めていたとあるアルバイト先は、なんと1泊6万円の当直アルバイトがありました。
ただ、ここで注意しないといけないのは当直料に対する医局のマージンです。つまり、医局紹介のアルバイトは当直料のうち何%かを医局がもらい、残りを医局員に渡すケースがほとんどです。中には半額医局がマージンとして受け取るところもあるので、入局先を選ぶ際にマージンがどの程度かを知っておくのも悪くないのではないでしょう。
以上が私の考える医局員のメリット6選です。医局員であることは良い面もあります。特に若いうちは医局に属していた方が、専門医も取得しやすく良いのではないでしょうか。
ただ、ある程度学年が上がってくると、色々と問題も出てくるんですけどね・・・
7.モデルケースとなる先輩に逢える可能性あり
私が医局に入って最も良かったなと思えたのはこの点でした。ここで私の実体験をお話ししようと思います。
私の所属した医局には、Z先生という先輩がおりました。この先輩は私と同じ大学出身で、しかも現役合格。頭脳明晰、かつ優しくカッコいいという、まさに理想の先輩でした。
医局に入ってから、私はこの先輩の背中を追って頑張りました。私の学位論文も指導していただき、私が医局を辞めるかどうかの時にも、非常に親身になって相談に乗っていただきました。
もう一人、私の目標とするA先輩がいて、A先輩は何に対しても理論的に考えられる方でした。「それはなぜ?」を徹底的に追求する方で、私も頭を抱えてしまうような場面では「A先輩ならどう考えるだろう」ということを意識するようにしています。
医局にいながら、私は先輩方に何か恩返しできればと思ったのですが、結局それは叶いませんでした。これも今でも後悔しているところです。
医局に属していればたくさんの先輩方がいるため、このように自分の目標とするような先生に出会える可能性が高いです。「まなぶ=まねる」とも言ったりしますが、自分が真似たくなるような先生に会える、それも医局の良い点でしょう。
以上が私の考える医局員のメリット7選です。
もう一度まとめると
- 1.困ったときは医局が守ってくれる
- 2.専門医取得に悩まない
- 3.研究できる→博士号を取得できる
- 4.海外・国内留学できる
- 5.体調を崩しても医局がカバーしてくれる
- 6.アルバイトの単価や待遇が相場よりも良い
- 7.モデルケースとなる先輩に逢える可能性あり
になります。
医局員であることは良い面もあります。特に若いうちは医局に属していた方が、専門医も取得しやすく良いのではないでしょうか。
ただ、ある程度学年が上がってくると、色々と問題も出てくるんですけどね・・・
そこについては今後「医局員であることのデメリット」をまとめようと思います。乞うご期待ください(笑)。
Ataru Minami